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おのれに忠実であれ
2006年08月30日 (水) | 編集 |
昨日は雨でほとんどの試合が行われませんでした。ていうか、マッチポイントを終了した試合がひとつもないという散々な日となってしまいました。というわけで、今日は試合のことは書けませんが、代わりに(といってはなんですが)、いい機会なので、キングさんの話を。

月曜日に、この大会が行われているUSTA National Tennis Centerを、「Billie Jean King National Tennis Center」と命名するセレモニーが盛大に行われました。エバートやマッケンロー、コナーズなど現役時代を知る人たちに加えビーナスも参加、そしてダイアナ・ロスも会場に姿をみせ「Ain't No Mountain High Enough」熱唱して祝福したそうな。
アメリカテニス界、特に女子のテニスやテニスの枠を超えてスポーツ界に多大な影響を及ぼしたキングさんの栄誉をたたえ、今回の命名となりました。ちなみに、センターコートの名称は今までどおり、アーサー・アッシュ・スタジアム。でもキングさんの場合は施設全体の名前になるわけだから、こりゃちょっとすごいね。

私は当然キングさんの現役時代は知らないし、その後もどういう活動をしてきたのかあまりリアルタイムでは知らないので、いろいろと調べてみました。

1943年、カトリックの家に生まれた旧姓Billie Jean Mofittさん。カリフォルニアで育ち、1961年に17才でウィンブルドンダブルス優勝。翌年にはウィンブルドンで、シングルス1回戦でマーガレット・コートを破る番狂わせもしています。
そして、1965年に法律の勉強をしていたLawrence Kingという人と結婚して、現在の名前になりました。

それ以降は、んもうこれでもか~ってくらいにウィキペディアに書いてあるので興味ある人は下のリンクからどうぞ。主に1960~70年代前半に活躍したキングさん。生涯獲得シングルスタイトルは67にのぼり、そのうちGSタイトルは、12。ダブルスを含めるとGSタイトルは実に39になるそうです。そして5回ランキング1位になりました。エバートやナブラチロワのひとつ前の世代、ていう感じなのかな。よくわかりませんが。そして83年にシングルスを引退した後もダブルスにはちょこちょこ出続け、90年くらいまではプレーしていたようですね。もっとも、シングルス83年までプレーしていたのは、後にMarilyn Barnettとの不倫問題で訴訟になったときの弁護士に払うお金を稼ぐだめだった、らしいけども…。

輝かしい経歴と記録を作ったキングさんですが、人々の記憶に最も深く残っているものは、どのグランドスラムでもなく、あるエキシビジョンでした。それは、現在までのキングさんを形成する、ある意味原点ともいえる試合でした。


1973年、Houston Astrodomeというところでキング夫人は、ある男性選手と試合をしました。1939年のウィンブルドンチャンピオンの、当時55才のBobby Riggsという選手です。この試合は、「Battle of Sexes」として世界中の多くの注目を集め、55カ国で中継されたそうです。日本でも中継されたのかな…。そして結果は!キング夫人がストレートで勝利。

当時14才だったジョン・マッケンローは、当然Riggsのほうを応援していました。「僕は男性優位主義者だから、Bobby Riggsにキングをやっつけてほしかった」。もちろんちゃんとフォローも忘れません。「でも娘が4人いる今は、キングが勝ってうれしいと言いたいよ」。

また、こんなエピソードもあります。1972年に全米優勝したキングさんは、男子の優勝者(ナスターゼ)より賞金が1万5千ドル少なかったそうです。そこでキングさんは、翌年、男子と賞金額を同じにしないなら出場しないと大会側に宣言。当時トップ選手のキングさんは大会側にとっても集客や大会の成功には欠かせない存在だったのでしょう。73年、グランドスラムで初めて、全米で男女の(優勝?)賞金額が同じとなりました。そして全米ではこれ以降ずっと男女の優勝賞金は同じ額となっています。

このように、キング夫人は、スポーツ界における女性の地位確立に多大に貢献してきました。現役引退後もテニス界で精力的に活動してきて、ある意味現役時代より目立ってるかも?よくわかりませんが。73年にはWTAの初代の代表となり、翌年には男女が一緒にプレーするWTTを発足させました。そして女性アスリートとして初めて同性愛者であることを公表した人でもあります。ちなみにご主人だったLawrence Kingとは87年に離婚しています。

キングさんのパートナーはIlana Klossという人らしく、この人も元選手でWTTのCEOもしていた(今もなのかは知らない)そうですが、キングさんが女性の地位向上に奔走する一方で、やはりゲイやレズビアンなどマイノリティーの地位向上のためにいろいろ腐心したようです。

そういえば、アーサー・アッシュも、黒人選手として人種差別と闘った人でしたっけ。アメリカとはそれだけいろいろな差別が多い国なのだろう。だからこそこのような差別と闘う人を賞賛する傾向がある。それによって自らを贖罪するということなのか。アメリカとは自由の国というイメージがあるけども、差別は意外に根強いものなのかもね。そういえばメルギブソンがこないだどさくさにまぎれて何やらごにょごにょ言ってたっけ。酒の勢いとごまかしたつもりみたいだけども、あれが本音なんだろう。自由と平等は、似ているようで全然違う。自由の国だからこそ、秩序を求めるために区別をするのか。とにかく行ったことのない国なので想像するしかない。

まあだいたい男と女を比較すること自体間違ってる。違う生き物なんだから。選手もよく言ってるじゃん。男女のテニスは違うスポーツだ、と。だから賞金を比較してどうこう言うこと自体はあまり意味をなさないと思う。実際あんな大金もらっといてまだ不満なんかい。もちろんキング夫人の功績はすばらしいし賞賛されるべきものだと思う。ああいう人がやっぱスポーツ界には必要だ。ひっぱっていってくれる人、が。


話がそれましたが、キング夫人はかつてあるテレビ番組で、自分自身の性についての考えや概念にとても苦しんできたと語っています。女性の社会的権利や地位向上のために多大な苦労をしてきたであろうし、あるいは女性でありながら女性を愛するようになってしまったことへの葛藤(←ここらへんは想像)なんかもあるのかな。昔は男性を愛していて妊娠経験もあっただけに、そこらへんの苦悩は経験者にしかわからないものかもしれません。ひとつ言えることは、カソリックで極めて保守的な家で育ったことがこれらの彼女の人生に大きく影響を及ぼしているであろうということです。これはキングさん自身もわかっているようです。

抑圧された子供時代の反動が、彼女をここまで何もかもオープンにさせてきたのでしょうか。かつてカントリークラブ主催の閉鎖的なものだったテニスの大会に息苦しさを感じていたというキングさんは、月曜日のセレモニーでもあくまで「public」を強調していました。たとえ自分の名前がついていても、ここは公共の場であり365日、みんなのもの、と。
「私の家はあなたの家、ここは私たちの家」。

母がいつも言い聞かせてくれていたという、シェイクスピアのハムレットの名文句を座右の銘にして生きていたというキングさん。昨日のストーサーの話にもちょっと通じるような気がするけど、自分をさらけ出すというのは思っている以上に難しいもの。日常生活ではむしろ、気持ちとは逆の言動をとることのほうが多いのではないかと思います。

最後にもうひとつ。今回この全米の施設をキングさんの名前ではなくスポンサーの名称にしていたら、USTAに約600万ドルの収入が入っていたそうです。評価のものさしのひとつとしての賞金額の是非を主張してきたキングさんの名前をつけることでお金をもらえなくなるとは、なんとも皮肉な話のような気もしますね。


U.S. Tennis Center named after Billie Jean King(Reuter)
National Tennis Center renamed for King(AP)
Tennis center honors King with naming festivities(USA Today)
Billie Jean King(Wikipedia)
Naming honor is fit for this King(Boston Globe)

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